@大手町よみうりホール
・2020年12月16日(水)ソワレ
観劇した12月16日は、なんとベートーヴェンの250回目のお誕生日!
そんな記念すべき日に偶然にもこの作品を観劇できたことは、きっと何か運命のようなものだったんじゃないかと思いました。
舞台にはピアノが一台、そしてソファと文机と椅子が何脚か。
演じるのはたった9名の役者さんたち。しかしながら、ベートーヴェン役は出てこない。
新垣隆さんが奏でる美しいピアノの演奏に添うようにして、キャストが語りながら、回想のシーンを演じながら、美しく物語が進んでゆきます。
ベートーヴェンの人生を、愛情いっぱいに、とても丁寧に、優しい視点で描いている作品だなと、すごく感じました。伝記の本の中に入り込んだような、美しい絵の中に入り込んだような、不思議な感覚に。
途中、歌のシーンもあるのだけれど、歌唱が終わっても、誰も拍手を入れることができない…いや、拍手する、という概念を忘れさせられてしまった感じ。
まさに、客席全体が、舞台上に吸い込まれて、作品の中に入り込んでしまってる状態。
ベートーヴェンの苦悩と歓喜の心情は、彼の作り出した音楽に、すべて表れているんだなと感じました。抑圧された愛や、階級社会に縛られた生活、途中から聴力が失われてしまうという作曲家としては致命的な症状、思い通りにならないたくさんのことを、素晴らしい音楽に昇華させたベートーヴェンの音楽は、多くの人の心を打ち、その素晴らしさゆえに、それは250年後の私たちの心にもしっかり届いているんだと。
そんなことを考えていたら、現在の大変な状況の中にいる私たちも、この困難な事態をいかにうまく昇華させて明るい未来にしていくか、ということを問われているんじゃないのかな、という気がしたのでした。
一路真輝さんと、田代万里生さんが、本当にものすごく素晴らしかったです!
(8月の帝劇コンサートでお茶目なところをたくさん魅せてくれた、あのお二人が!…というギャップもすごくて…!)
とにかく本当に本当に素晴らしかったです!お二人の繊細なお芝居と、素晴らしい歌声に心奪われました。
帰宅してパンフレットを読んで、この作品を製作された方々の熱い想い、深い想いを知って、また感動を新たにしました。
ベートーヴェンに対する愛情がいっぱいに作られてる作品だな〜と感じたのは、こんなにも製作者の方々、キャストの方々の、深い愛情がこめられた作品だからなんだな、と思いました。
ぜひ、たくさんの方に観てほしいです!
こんなに深くて愛に溢れた素敵なラブストーリー、なかなかないと思います…!
※最後、新垣さんがハッピーバースデーの旋律を奏でられたのは、この日だけのスペシャルだったのかしら?
(敬称略)
■キャスト
一路真輝
田代万里生
神尾佑
前田亜季
安藤瞳
万里紗
春海四方
石田圭祐
久保酎吉
段田安則 (声)
■原案 小熊節子
■演出 栗山民也
■脚本 木内宏昌
■音楽・演奏 新垣隆
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「Op.110ベートーヴェン「不滅の恋人」への手紙」
2020年11月28日ー11月29日 @兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
2020年12月2日 @富山県民会館ホール
2020年12月5日 @東海市芸術劇場 大ホール
2020年12月11日ー12月26日 @大手町よみうりホール
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