劇場通い、ときどき読書

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ミュージカル「ゴヤーGOYAー」

ミュージカル「ゴヤーGOYAー」

日生劇場

・2021年4月8日(木)ソワレ 初日

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【ストーリー】

封建的なスペイン社会において、破天荒かつ進歩的な考えをもっていたフランシスコ・デ・ゴヤ今井翼)。ひときわ野心の強いゴヤは、保守的なアカデミー会員である義兄バイユー(天宮良)とことごとく対立するが、宮廷画家になるために王妃マリア(キムラ緑子)やその側近のテバ伯爵(山路和弘)に近づき権力を利用するなど、あの手この手で出世を目論んでいた。そんな彼を心配し支えるのは、妻のホセーファ(清水くるみ)や同郷の親友であるサパテール(小西遼生)。だが、その助言には耳を傾けず、ゴヤは自分の信じた道を突き進んでいく・・・。そして写実的なヌードである「裸のマハ」を描いたことで、保守的なスペイン画壇でスキャンダルを巻き起こし、さらに革命軍との接触を画策する宰相ゴドイ(塩田康平)の命により、使者として港町カディスに向かう途中、何者かに毒を盛られ、聴力を失ってしまう・・・・・・。自暴自棄となり絵が描けなくなるゴヤだったが、資産家アルバ公爵夫人(仙名彩世)との再会により、絵を描くことへの衝動を取り戻すきっかけを掴む・・・・・・。(ミュージカル「ゴヤーGOYAー」公式HPより引用)

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ミュージカル「ゴヤGOYAー」は、今回初演のオリジナルミュージカル。舞台演出家・劇作家のG2さんが、世界に通用する日本初のオリジナルミュージカルを作るべく模索していた時に、スペインの画家であるゴヤという人物に出会い、閃きました。原案・脚本・作詞を手掛け、今回は演出を鈴木裕美さんの手に委ね、音楽をミュージカル初挑戦の清塚信也さんにお願いし、8年の年月を経て、今回この日本初オリジナルミュージカルが誕生したのです。

 

幕開けから、ゴヤの世界観。薄気味悪いドロドロした情景が立体的に表現されて、絵画で観るよりも生々しさが倍増。何これ、気持ち悪い!と薄気味悪くゾワゾワしながらも、ゴヤの世界にぐんぐん引き込まれていきました。


私は美術館に行くのも好きなのですが、ゴヤっていう画家には、あまり興味を持って見たことがなくて。・・・あ、「裸のマハ」の絵は見たことあるかも!っていう程度。なので、初っ端からゴヤの世界観に触れて、すごくドキドキしてしまいました。

ゴヤって、いったいどんな人なの?

 

時代は、マリー・アントワネットや、ナポレオンや、ロベスピエールが出てきたりして、私が最近観てるミュージカルの世界と同時期のお話。余談ですが、実はこの日のマチネに、宝塚歌劇団雪組公演「fff〜歓喜に歌え!〜」ベートーヴェンが主役の作品)を観劇したばかりだったのですが、これがまさに同時期のお話で、マチソワ連続でその時代に触れた一日となりました。(しかも、ゴヤベートーヴェンもどちらも、聴力を失ってしまう、というところが共通していて…!)

 

ミュージカル「ゴヤGOYAー」を観終わった時、気づいたら涙が溢れていました。

最初の気味悪さから、野心あふれるゴヤの登場、彼を取り巻く魅力的な人々、スペイン音楽の奥深さ、テンポのよい展開、人間が持っている強欲さ・情熱、それぞれの愛情の表し方、挫折・絶望の感情・・・いろんな感情の波がどんどん迫ってきて、最後には、ゴヤという人間に深く寄り添っている自分に気づき、彼の、絵に対する純粋な思いに、感動の涙が溢れてきて止まりませんでした。

 

 このミュージカル、公演ポスターのビジュアルの印象とは全然違うものでした。

でも、もしかしたら、登場人物の彼らが現代にタイムスリップしてきたら、こんな感じなのかもしれない、という気もしてきます。この公演ポスターのセンスの素晴らしさを、後になってからビリビリと感じて、鳥肌がたちました。このセンス、カッコ良すぎる!!

 

舞台の展開もカッコいいんです。なんと言っても、スペインの音楽、フラメンコ!この素敵さは、ミュージカルではあまり体験したことのない感覚。そして、今井翼さんのフラメンコは、ほんとにもう、期待していて間違いないです!素晴らしかった〜!!!

何の予備知識もなく臨んだ観劇でしたが、この舞台、絵画的でもあるし、かと思えば、ミラーボールが回るショー(笑)があったり、え?大丈夫?って心配しちゃうエロティックな表現があったり…などなど盛りだくさんで、とても刺激的な構成。

なのですが、ベースはゴヤという人物の内面、そして彼の妻や親友との心の対話をしっかりと描写しているので、彼の繊細な心のヒダを感じることができ、最後は思いがけず号泣しちゃいました(ToT)

 

この日は、初日ならではという感じで、客席がぎこちなく(笑)、どこで拍手してよいやら戸惑いのムードもありましたが・・・でも最後のカーテンコールでは、客席は万雷の拍手とともに、感動のオールスタンディングオベーションでした!翼くん、思わず小さくガッツポーズ(^^)v

 

それでは、メインキャストの感想を少し…

 

今井翼フランシスコ・デ・ゴヤ

舞台に登場したその瞬間から、絵を描くということのために純粋にガツガツと邁進していくゴヤそのもの。聴力を失ってからの苦悩の演技は、壊れてしまいそうなくらい儚く、全力で支えてあげたくなる。素晴らしいお芝居と歌とフラメンコダンスによって完璧に「ゴヤ」を表現していて。最後はもうゴヤにしか見えませんでした。完全にゴヤが乗り移っていました。本当に素晴らしかったです。

 

小西遼生マルティン・サパテール)

小西さんは、色気を封印!あの色気ダダ漏れな公演ポスターの雰囲気はほとんど無くて、爽やか好青年の印象。でも、心の奥には沸々と燃える野心を隠してるような…そんなところが、抑圧された色気を感じて、そこがたまらなくセクシーで良かったです。

 

★清水くるみ(ホセーファ・ゴヤ

ゴヤを献身的に支えているんだけれど、自分の意志もしっかり持っていて、地に足のついている女性。でもすごく可愛らしくて、ユーモアもあって、とても魅力的な奥様だな〜って感じさせる。彼女なしではゴヤは生きていけなかったよね、という説得力がすごくありました。

 

山路和弘(テバ伯爵)

悪い人だなぁ〜、嫌なやつだなぁ〜って思いながらも、舞台上の存在感がものすごく大きくて、目が吸い寄せられてしまうお方。ご本人もこの役を楽しんで演じられているそうですが、まさにその楽しんでる感が、客席にも伝わってきました。観終わった後の印象が一番残っているのは、彼かもしれない…!


★仙名彩世(アルバ公爵夫人)

一番ビックリしたのが、このゆきちゃん(仙名さん)の役でした。体当たりの演技!そして迫力!これまでも舞台上の彼女は、迫力はあったし、演技も体当たりだったと思うのですが、今回のこの公爵夫人は、桁違いでした!驚愕レベル!ご自身の殻(そういうものがあるならば、の話ですが)を自ら破ったんじゃないかなぁと感じさせる素晴らしい演技で、完全に1段上のレベルに上がられたのではないかな、と思いました。最高でした!!


★塩田康平(マヌエル・ゴドイ)

とにかく、うまいなぁ〜と思いました。最初出てきた時の若造感と、どんどんのし上がっていく過程での成り上がり感。その違いが本当に素晴らしくて、しかもすごくカッコよくって、私のチェックセンサーがピーンと反応しちゃいました。年上キラーな感じが最高で、マリア・ルイサが入れ込んじゃうのも無理ないよね(笑)って思いました。


天宮良(バイユー)

天宮良さん!われわれ世代には懐かしの、昔いろいろなドラマに引っ張りだこだった、あの天宮良さんですよねっ?と、まず思ってしまったのですが。ミュージカル俳優さんになられていたのですねぇ。ホセーファのお兄さんという役どころで、ゴヤとは対立するものの、妹思いのお兄さんという面もチラチラと出ているのがとても素敵でした。


キムラ緑子(マリア・ルイサ・デ・パルマ

出てきた瞬間、その迫力にびっくり!そして、その面白さ(失礼っ!)に、笑ってしまったのですが、ほんとにキムラさんは掴みが最高ですねっ!キムラ緑子さんといえば、私にとっては、Eテレの「グレーテルのかまど」の「かまど」なんですよね。声だけのご出演ですけど。あ、それはどうでもいいとして…今回、キムラさんのミュージカル女優姿をはじめて拝見して、もうほんと、最高だな!って思いました。ゴドイを手懐けるところ、そしてだんだん彼に相手にされなくなっていくところが、観ているこちらがキュンと切なくなってしまう感じでした。素晴らしかったです。

 

 

このミュージカル、とても奥深いから、何度もリピートしたくなるタイプの作品ですね〜!ちょっとまたチケット探してみようかな〜!

観る人によって、感想がバラバラになりそうなミュージカルだと思いました。そして観るたびに、感じ方も変わっていきそう。だから、また観たいなぁと思っちゃう。そんな魅力がすごくある作品だと思います。

 

これから千秋楽まで、どんどん進化しそうな予感がします!
最後まで、無事に駆け抜けられますように✨

■おもなスタッフ

G2    原案・脚本・作詞
鈴木裕美  演出
清塚信也  作曲・音楽監督

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ミュージカル「ゴヤGOYAー」

2021年4月8日ー4月29日 @日生劇場

2021年5月7日ー5月9日 @御園座

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