劇場通い、ときどき読書

〜ミュージカルとライブと本と〜

*同じ作品を何度も観てしまう理由

同じミュージカルの作品を、一回観ただけでは飽き足らず、何度も何度も繰り返し観劇している方、身近にいらっしゃいますか?

もし、身近にいらっしゃって、ご自身はミュージカル観劇にさほどの興味を持っていらっしゃらない場合は、

なんでこの人は同じミュージカル作品なのに、何度も観るんだろう?一回観れば充分じゃない?(…お金もったいないよね…?)

と思って傍観していたりするのでは?

そして、身近にそういう方がいらっしゃらない場合は、

え?同じミュージカル作品を何回も観るって何なの?意味わかんなーい!

っていう感じかな…笑

 

実は私も、ミュージカルに、いえ、朝夏まなとさんにハマる前までは、そんなふうに思っていた一人です。

私が、同じ作品を何度も観てしまうタイプの人に変貌(笑)したきっかけは、大好きな役者さん(朝夏まなとさん)が舞台上で生きている姿を1分1秒でも長く観ていたい!同じ劇場空間を共有したい!という、ある意味追っかけ的なところから。

 

劇場ってね、映画とかテレビとかと違って、「今ここ」で、その時間だけは、ただの観客である自分と、舞台上のキラキラした役者さんたちと「共存」すること、「同じ空間を共有すること」ができちゃうんですよっ!

これってすごいことだと思いませんか??

まずはこの事実が、同じミュージカル作品を繰り返し何度も観たい!と思わせる理由なんだと思います。(少なくとも、私の場合は・・・☺︎)

 

そんなきっかけだったとしても(笑)、同じ作品を何度も観ると、何が起こるかというと・・・

「同じミュージカル作品だけど、毎回同じではない!」っていう衝撃の事実に気がつくことになるのです!

いやいや、そりゃLIVE(生)なんだから、毎回まったく同じっていうことにはならないでしょ。でも、毎回ちゃんと台本通りに、同じようにやってるんだから、そんなに大きくは変わらないのでは?

と、思われるかもしれません。私もそう思っていました。

ところがですね、違うんですよ。大きく違うんです。

細かい違いとしては、お芝居の間合いとか、セリフの言い方、歌の歌い方、アドリブの入れ方、タイミングの違い、声の強弱、などなどなどなど、挙げればたくさんありますけれど。だって人間なんだもの。人形が演じているわけではないんですから。

そして、上演回数を重ねることにより、演者さんたちのお芝居が進化(深化)していくこと、これも毎回違ってくる理由だと思います。どんどんお芝居が熟成していく過程を味わえるのは、観ているととてもわくわくするのです。

 

私が思う、大きな違いは、その「空気感」です。

毎回、毎公演、劇場内に充満する空気感が違うんです。

「空気感」というのは、舞台上の演者さんたちが放つ躍動感溢れる演技によるエネルギー、スタッフさんたちから発せられるキビキビした緊張感、オーケストラのみなさんの演奏が創り出す音楽のパワー、お客さんたちから滲み出るワクワク感や感動や集中力などから生じる波動・・・これらすべての「気(エネルギー)」の要素が同じ劇場空間の中で一体となり、お互いに作用しあって共鳴し、化学反応を発生させ、劇場全体を満たしているもの。

その「空気感」が、毎回絶対に違うのです。

その違いによって、観劇している時の、その作品に対する感じ方や捉え方、心を動かされるポイント、などもすべて変わってくるのです。

そしてダブルキャストなどで役者さんが変わってくる作品は、通常の作品の何倍も、その変化が起こるので、もっとその化学反応の公式が複雑になってきます。

これが、生の舞台観劇の最大の魅力なんだと思います。

毎回、味わえる感覚が必ず違う。この事実は、人を沼に落とすのです。

人が同じ作品を何度も見てしまう理由は、これなのではないかな、と思うのです。

 

ちなみに、私が同じ作品を複数回観るようになった初めての作品は、2019年9月、

ミュージカル「Little Women -若草物語-」(10回観劇)でした。

毎回劇場を満たす空気感が回によってそれぞれ違うなぁ、ということに気がつきはじめた時期です。

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次の作品は、2019年11月〜2020年2月の、

ミュージカル「天使にラブ・ソングを〜シスター・アクト〜」(13回観劇)です。

ダブルキャストの公演でもあったし、地方公演にも遠征したので、本当に毎回毎回、劇場の空気感が違うことがよくわかりました。

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この公演期間中に1回だけオープニングアクトでゴスペル歌唱をするという機会をいただき、ど素人ながら、東急シアターオーブのステージに立って歌ったのですが、その時のお客さんの手拍子が本当に嬉しかったし、盛り上がってくれている様子も見えて、それがステージ上の人にとっては、ものすごく大きなパワーになるんだな〜!と、少しだけ出演者の気持ちを味わうことができ、やはりお客さんから発するエネルギーも、劇場空間を満たす空気感の大きな要素だな、ということがわかった貴重な体験でした。

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そして、

ミュージカル「ローマの休日」(2020年10月現在進行中…10数回観劇予定)←あまり本当のこと言えないくらいの回数、です(笑)。

こちら、メインキャスト3役がそれぞれダブルキャストなので、全部で8通りの組み合わせがあります。キャストの組み合わせにより、空気感が激しく違っています…!

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私がいかに短期間で、激しく沼に落ちてしまったのか、おわかりになるでしょうか。

ミュージカルというものは、魅力が大きすぎて、もはや魔力といえるのかもしれません。

でも、人生が毎日本当に楽しくなり、日々生き生きと過ごせるようになったのは、ミュージカル観劇のおかげです!

人生は一期一会の連続ですが、ミュージカルなどの生の舞台は、その一期一会をより強く感じる場所なのではないかな、と思うのです。

 

これからも、身を滅ぼさない程度にミュージカルをどんどん楽しんでいきたいと思っています。

そして、まだミュージカルを観たことのない方に、ぜひ1度でもいいので、ミュージカルを観ていただき、その魅力にたくさんの人が気づいてくれたらいいなぁって思っています。